世界遺産・国宝の修理に携わる

大規模建築の施工管理を担当しています。これまで富岡市の合同庁舎、中学校校舎、東京の15階高層ホテルなどさまざまな分野の建築工事に携わってきました。その一つひとつで専門知識を培ってきましたが、中でも大きな経験となったのが、国宝であり、世界遺産でもある富岡製糸場の西置繭所の保存修理工事です。大手ゼネコンと組み、2015年から5年をかけての保存修理、耐震補強工事でした。

100年先まで見据えた修復・復原

工事では、雨や風で既存の建物が傷まないように、素屋根と呼ばれる仮設のカバーをスライドさせながら全長104.4メートルの建物を覆っていく「トラベリング工法」という特殊な技術が用いられました。建物は国宝なので、いかに既存の部材を残して修復し、元の形に復原するかが重要であり、解体中に歴史的価値を示すものが出てくると調査のために工事がストップすることも頻繁にありました。文化財の専門家は100年先まで見据えて修復を考えるようですが、工期の予定が立てにくく、果てしなく続く工事のように思われてずいぶん戸惑いました。

富岡製糸場西置繭所 保存修理工事

唯一無二の特別な経験

国宝建造物にかかわる仕事は、通常の工事手法と全く異なるものでしたが、唯一無二の特別な経験をさせてもらったと感じています。やり終えた達成感は格別だったし、誇らしい気持ちでいっぱいでした。修復・復原した富岡製糸場西置繭所は、100年、200年先も残るでしょう。この仕事はタルヤに入らなければできなかった仕事です。会社の規模はまだ小さいけれど、幅広い経験を重ね、成長していける環境はタルヤの魅力です。これからもモノづくりの楽しさ、醍醐味を味わいながら大規模建築に力を注いでいきたいと思っています。

お客様ごとに異なるニーズに応える

施工管理者として、学校、工場、ガソリンスタンドなどさまざまな建築現場を担当してきました。工場一つとっても、食品工場、薬品工場、製造工場、倉庫などがあり、つくるものが違えば、お客様のニーズも違います。それらのニーズを丁寧に拾い、お客様との打ち合わせやスタッフ会議で一つひとつ検討する作業は大変なことも多く、豊富な現場経験と専門的な知識が必要です。

現場をまとめ、チームワークで完成

これまでの仕事で印象に残っているのは、初めて県外に出張し、薬品工場を施工した現場です。1年間という長期に加え、慣れない土地での仕事に不安やストレスを感じるところからスタートしました。それでも工事が進むにつれて周囲の人たちとの信頼関係が築かれていき、スムーズに工期を終えることができました。建築工事は決して一人でできる仕事ではありません。自分たちとお客様はもちろん、さまざまな職種の現場作業員が一体となってつくり上げていきます。チームワークで完成させるからこその感動があり、人間として成長できる仕事です。

富岡市新庁舎（設計：株式会社隈研吾建築都市設計事務所）

“大きなモノづくり”の喜びと達成感

建物を建てる過程は簡単ではありません。ときには大変な思いもするし、トラブルや問題の発生は付き物です。でもそうした壁を乗り越え、建物が完成したときの喜びや達成感は何ものにも代えがたいです。何もないところに建物を建てるという“大きなモノづくり”は、毎回がチャレンジであり、現場を任される責任とやりがいを感じます。これからも一級建築士の資格に恥じない仕事を行い、上を目指していきます。幅広い分野の大規模建築を手がけ、事業を拡大しているタルヤなら活躍の機会も多いと思っています。